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世界中で一番あふれている“石”はARM/W-ZERO3の心臓部「CPU」のヒ・ミ・ツ - 第2回

世界中で一番あふれている“石”はARM/W-ZERO3の心臓部「CPU」のヒ・ミ・ツ - 第2回

マーベル ジャパン株式会社 ビジネス デベロップメント マネージャー 漆原秀樹さんを迎えて、モバイル端末のCPUについて全4回わたりお話をうかがう予定の記事の今回は2回目。1回目の記事では、マーベルがARM系のCPU事業を扱うまでの経緯を振り返った。次に、ARMの流れを汲むCPUの特徴などについてご紹介しよう。

<人物紹介>

漆原秀樹さん

マーベル ジャパン株式会社
ビジネス デベロップメント マネージャー
漆原秀樹さん

<人物紹介>

遠藤 諭

株式会社アスキー
月刊アスキー 編集人
遠藤 諭

ARM系CPUの特徴とは

遠藤:モバイル端末用のCPUは、“ARM”のブランドでラインセンスを取得したメーカーも開発、製造を続けていますね。例えば、iPod touchにもARMのCPUが搭載されています。マーベルが引き継いだXScaleの流れを汲むものとは、何か違いがあるのでしょうか。

漆原:インテルのXScaleは、常にARMよりも高性能であることをポリシーとしていました。具体的には、消費電力が低く、クロック周波数が高いこと。ですから、マーベルのCPUも当然そのコンセプトを継承して開発を行っています。

遠藤:ユーザーがモバイル端末のCPUのスペックで気になるところと言うと、確かにクロック周波数とバッテリーの持ちに影響する消費電力になりますね。あとは、それらのスペックが価格とバランスが取れているかどうか。パソコンの場合は、さらに発熱量は適切か、自作に向いているかなどの評価も加わってくると思いますが。
しかし、クロック周波数はともかく、消費電力が低くなっているという実感は少ないのが、一般的なユーザーの感想ではないでしょうか。例えば、Advanced/W-ZERO3[es]は連続待受時間は約300時間(電波状態ランプ点灯時)といいますが、丸1日バリバリ使って持つかというと、実際はかなり厳しいでしょう? しかも、パソコンであればメモリを増設したり、より高性能のCPUに取り替えたりしてユーザーが自分で快適な環境を作ることができますが、スマートフォンのCPUは端末に組み込まれているので、そうはいきません。

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漆原:でもARM系プロセッサの消費電力は、パソコンのCPUの10分の1程度なんですよ。パソコンのCPUの消費電力は、低くても3~5ワットといったところですが、XScaleのCPUでは0.3~0.5ワットが一般的。しかも、グラフィック処理、液晶画面の制御、I/Oポートの管理など、パソコンでは別のパーツが必要な機能も盛り込まれていますので、電力の面ではかなりスケールダウンされていると思います。しかし、ソフトウェアも年々多機能化して重たくなってしまいますから、どうしてもせめぎ合いになってしまいます。

ちなみに、そのほかの主要スペックも紹介しますと、クロック周波数は、パソコンのCPUは現在は一般的には2~2.5GHz前後ですが、Advanced/W-ZERO3[es]のCPUは520MHzです。大きさはパソコンのCPUが4cm×4cm前後、Advanced/W-ZERO3[es]のCPUは、1.4cm×1.4cm程度となっています。

ARM系プロセッサは、ここにもあそこにも

遠藤:特にモバイル端末では、ARM系のCPUはかなりのシェアだとうかがいましたが、メーカーにとってARM系のCPUを採用することには、性能以外にどんなメリットがありますか。

漆原:XScaleの流れを踏まえて言えば、特にWindow Mobile系のソフトウェア技術者が最も多いアーキテクチャである点でしょうか。インテルは、アーム社からStrongARMのライセンスを取得してXScaleを開発するとき、将来Windows Mobile端末にそのCPUを提供することを見越して、パソコン用のCPU(Pentiumシリーズ)に関連する技術者をシェアできるようにしたいと考えました。そこで、パソコン用のソフトウェア開発とXScale搭載のWindows Mobile端末用のソフトウェア開発で必要なプログラム言語を統一し、それぞれのコンパイラを使用すれば同じ知識・技術をベースにソフトウェアを制作できる環境を整えたのです。これにより、例えばWindows用に作ったソフトウェアをWindows Mobileに移植する際、前者のソースを基礎にして最適化を行えばよいだけとなり、開発の労力は大幅に削減することができました。Pentiumプロセッサとの親和性を維持することで、それまで蓄積していた技術者達を、インテルにとって新しい事業であったXScale開発に取り込もうとしたのですね。

遠藤:なるほど。XScaleを含めて、ARM系のCPUは、今では世界中にあふれていますよね。特に携帯電話は世界で8億台以上あると言われていますが、大半はARM系CPUが採用されていて、国内だけでもそのうちの数千万台が毎年常に入れ替わっている。他にも大型液晶テレビ、ハードディスクレコーダーなどの家電にも搭載されているでしょう? 電気を使う製品にはありとあらゆるものに入っているのではないですか?

漆原:そう言って間違いないでしょう。そのほか、電圧を制御する部品に含まれている場合もありますよ。部品の中に入る部品としてARM系プロセッサが使用されることもあるのです。

遠藤:世界中で、毎年どのくらい生産しているのでしょうね。10億個くらい?(笑)

漆原:どうでしょう(笑)。正確な数はちょっと把握しきれません。

遠藤:ARM系プロセッサが、ここまで普及に成功したのは、小さい端末に特化して開発した作戦勝ちなのかな、と思います。モバイル端末のCPUでは、MIPSというブランドもありますが、こちらはワークステーション用のCPUもにらんだ開発を行っているはずですから、どうしてもリソースが分散されてしまう。

漆原:携帯端末はますます進化して、いろいろな機能を詰め込んできています。当然、CPUも並行して進化していく必要があるわけですが、そこに最大限の人的、技術的リソースを投入してきた成果が今、現れているのかもしれませんね。

ARM系CPUの簡単な特徴について、おわかりいただけただろうか。モバイル端末以外にも、身の回りはARM系CPUで実はあふれていたのだ。第3回目は、モバイル端末の進化とCPU開発との関係について、現場からの実感を聞いていこう。次回の記事は、2月下旬に公開の予定だ。

This article posted by staff on 2008/01/25 18:07

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