第15回 インストーラーを作る
ようやく日記アプリケーションができあがった。あとは、自分なりにオリジナルの日記に仕上げるだけである。さて、今回はアプリケーションを他の人に配布する際に必要なインストーラーを作成する。単体の実行ファイルを配布してもよいが、その場合、ユーザーがショートカットの作成などを行わなければならない。使い勝手のいいアプリケーションのためにもインストーラーの作成をマスターしておこう。
インストーラーの種類
Windows Mobile 5.0のインストールファイルとしては2つのタイプがある。
- Active Syncを通じてパソコンからセットアップができるSetupタイプ
- Windows Mobileのデバイスで実行するCABファイルタイプ
今回作成するのはCABファイルタイプのインストーラーである。このタイプはデバイスから直接ダウンロード、インストールができ、パソコンなしでセットアップが可能なのでおすすめである。
インストーラーを作るということ
では、インストーラーを作るときには何を設定してやればよいだろか? これは実際の処理を考えてやればいい。
- 実行ファイルのフォルダへのコピー(例:\Program Files\アプリ名)
- ショートカットの作成(例:\Windows\スタートメニュー\プログラム)
基本はこんなところだ。場合によっては関連ファイルのコピーや、レジストリへの登録などが発生する場合がある。
そのため、インストーラーを作成する前に以下の項目を決めておかなければならない。
- アプリケーション名
- インストール先のフォルダ (通常は\Program Files\アプリ名)
- 製造者名
ここで面白いのが製造者名である。製造者名はアプリケーションのレジストリへの登録時に使われたりする。自分の名前でも、ハンドルネームでも何でもいいので考えておこう。
設定が決まったら後はそれを実際にツールで設定するだけである。
セットアッププロジェクトを作成する
では、実際に作成していこう。と言っても別のツールを使うのではなく、今までどおりVisual Studio 2005を使って作る。まずはこれまでどおり、MyDiaryのプロジェクトを開こう。
プロジェクトを開いたら、インストーラーのためのプロジェクトを新しく作成する。「ファイル」メニューから「追加」→「新しいプロジェクト」と選択する。すると「新しいプロジェクトの追加」ダイアログが開くので、プロジェクトの種類から「その他のプロジェクトの種類」を選択し、テンプレートからは「スマートデバイス CAB プロジェクト」を選択する。
そして、プロジェクト名にはセットアッププロジェクト用に「MyDiarySetup」とでも記述しておこう。
設定が完了したら「OK」を押して進む。
プロジェクトの設定
プロジェクトができたらまずはプロジェクトの設定をする。プロパティウィンドウの設定をするだけだ。
ここで、設定する箇所は2つ。Manufacturer(製造者名)とProductName(製品名)である。Manufacturerには自分の名前を、ProductNameは製品名なので「MyDiary」を設定しよう。ここで設定したProductNameはアプリケーションの名称になり、また配置のフォルダ名にもなる。
| プロジェクト | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| MyDiarySetup | Manufacturer | 自分の名前など |
| ProductName | MyDiary |
ここで注意してほしいのは必ず、半角の英数字のみで設定することである。漢字やひらがななど全角の文字は使わないでほしい。もちろん半角のカタカナもNGである。
ファイルの配置設定
続けて、ファイルの配置設定を行う。ここでは、アプリケーションをフォルダに配置して、そのショートカットを登録する処理を行う。
まず、画面の「対象のコンピュータ上のファイル システム」のツリーから「アプリケーションフォルダ」を選択する。そして「プロジェクト」メニューから「追加」→「プロジェクト出力」を選択する(アプリケーションフォルダのコンテクストメニューからも可)。
「プロジェクト出力グループの追加」ダイアログが表示されたら「MyDiary」プロジェクトが選択されていることを確認し、「プライマリ出力」、「構成」は「Release Any CPU」を選択して「OK」を押す。
これは、MyDiaryプロジェクトでビルドされたReleaseバージョンのEXEファイルを、アプリケーションフォルダに設置することを意味している。
「MyDiary (Release Any CPU)のプライマリ出力」が追加されていればOKだ。
ショートカットの作成
続いてショートカットの作成を設定する。先ほど追加された、「MyDiary (Release Any CPU)のプライマリ出力」を選択して、「操作」メニューから「MyDiary (Release Any CPU)のプライマリ出力へのショートカットを作成」を選択する(右クリックしてコンテクストメニューから選択してもいい)。
すると、「Shortcut to MyDiary (Release Any CPU) の プライマリ出力」が作成されるので、ここで名前を「MyDiary」に変更しておこう。ここでも全角は使わないでほしい。
CAB作成プログラムのバグ
一時期有名になったが、CAB作成ツールにバグがあるため、ファイルパスやファイル名、ショートカットなどに全角文字があると、CABファイル作成時にエラーが出てしまう。回避方法もあるが、手間を考えると、ファイルの名前やショートカットは半角英数で実装することをおすすめする。
ショートカットの配置
さて、ショートカットを作成したが現在はアプリケーションフォルダにあるためアプリケーションフォルダ(\ProgramFiles\MyDiary)に作成されてしまう。そこで、このショートカットを移動する。
ところが、まだ移動先のフォルダがないためここで追加しよう。「対象コンピュータ上のファイル システム」を右クリックして、「特別なフォルダの追加」から「プログラム フォルダ」を選択する。
「プログラムフォルダ」は「\Windows\スタートメニュー\プログラム」を意味している。そのためここにショートカットを配置すれば、プログラムメニューにショートカットが配置されることになる。
先ほど作成した、「MyDiary」のショートカットを「プログラム フォルダ」に移動しよう。
セットアッププロジェクトのコンパイル
さて、すべての設定は完了した。これまでと同じように、「ビルド」メニューから「MyDiarySetupのビルド」を選択する。するとこれまでと同じようにビルドされ、今回はセットアップのCABファイルが作成される。今回も第14回で設定したようにReleaseモードでコンパイルしよう。
作成されたCABファイルは、前回説明したのと同じように、「MyDiarySetup」プロジェクトフォルダの下の「Release」フォルダに作成されている。
後はこのCABファイルをW-ZERO3にコピーして実行してやればいい。ショートカットも作成され、プログラムの追加と削除にも登録されるはずだ。
まとめ
Visual Studio 2005を使うと、アプリケーションだけでなくCABファイルも作成できる。また、同じソリューションファイルでまとめられているため、アプリケーションを作成しなおした後に簡単にCABファイルの更新を行うことも可能だ。
これでようやくアプリケーションの配布状態まで完成した。まだまだ.NET Compact Frameworkには多くの機能が備わっている。自分のアイディアをできる限り盛り込んで、自分なりの日記アプリケーションを作成してほしい。
今後も、また機会があればちょっとした機能の追加を紹介したい。詳しくはこのサイトか、私自身のblog(プロフィール)を参照してほしい。
では、皆さんの作品の応募を心待ちにしながら連載を終えることにしよう。
<執筆者プロフィール>
高橋 忍
元は、某重工業メーカにて航空機の自動操縦システムのソフトウェア 開発に従事。
その後、マイクロソフトにて開発サポート、コンサルタントを経て、 現在はエバンジェリストとして開発者に新しい技術を紹介している。難しい技術を楽しくわかりやすく伝えるのがモットー。
http://blogs.msdn.com/shintak/
- 高橋 忍のブログ
- http://blogs.msdn.com/shintak/default.aspx
- MSDN eye: 第 8 回「Windows Mobile 開発」
- http://www.microsoft.com/japan/msdn/eye/
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